化学療法である抗がん剤治療は、その治療過程で抜け毛が起こることがあります。
治療に加えて抜け毛の悩みまで抱えてしまうのはとても辛いことです。
しかし、健康を取り戻すためには治療を受けることは止むを得ません。
ここでは、抗がん剤治療による抜け毛の概要を紹介していきます。
抗がん剤治療とはどのようなものなのか
抗がん剤は、投与患者のがん細胞を破壊する効果を持っています。
その作用によって、がん細胞を取り除くことが本来の目的であるものの、どうしても正常な細胞にも影響が及び、副作用として身体機能の一部に障害が出てしまうことも避けられません。
そのひとつが脱毛というわけです。
抗がん剤には多岐にわたる種類があり、効果の強さに比例して副作用も強くなるのが一般的です。
ただ、副作用が出る程度には個人差があり、同じ薬を服用しても人によって症状が異なるので、投与するまで正確な副作用の把握はできません。
薬の強さによって抜け毛の量が増えることもあるため、これらについてはあらかじめ理解しておきましょう。
いつ頃から毛が抜けるようになってくる?
抗がん剤は、副作用を及ぼすほどの強い薬です。
患者の症状によって投与するタイミングが異なり、数カ月で抗がん剤の投与が終わる方もいれば、数年掛かって薬を投与し続ける方もいます。
では、どのタイミングで脱毛が起こるのかというと、投与を始めてから約2週間~1カ月の期間で始まるケースが多いようです。
それから脱毛量は徐々に増え、約1カ月半後には大部分の毛髪が抜け、約2~3カ月後には全ての毛髪が抜けてしまう方もいます。
ただし、脱毛の程度には個人差があるため、必ずしもこの期間で脱毛が発生するとは限りませんし、脱毛のスピードも人によって異なります。
中には、少量の脱毛で済む場合もあるようです。
髪の毛は治療後には元の状態に戻るの?
抗がん剤治療によって髪の毛が抜けてしまうのは止むを得ないとして、気になるのは治療を終えた後に、元の状態に戻ることができるのかどうかということ。
個人差はあるものの一定期間が経過すると、再び髪の毛や体毛が生えてくるケースがほとんどです。
髪の毛が再び生えてくるまでの期間は、治療内容にも左右されるものの、一般的に抗がん剤の投与が終了したあと、約1~3カ月程度で生えてくると言われています。
ただし、抗がん剤によって一旦細胞が破壊された影響で、再生した髪の毛の毛質が以前とは異なる場合もあります。
柔らかかった髪質が硬くなったり、色素が薄くなったり、さまざまな変化が見られます。
ここまで、抗がん剤治療と抜け毛の関係、またそのメカニズムや脱毛の時期などについて、ひとつの例を説明してきました。
ただし何度も述べたように、症状の現れ方には個人差があり、治療の内容や薬の種類などが大きく影響します。
人それぞれ症状の現れ方が異なるため、不安な方は専門家への相談を検討してみても良いかもしれません。