抗がん剤治療をしている間は頭皮ケアを避けた方がいいのか?

脱毛が始まる抗がん剤治療中こそ、頭皮ケアをしたい。

そう考える方も多いかもしれませんが、抗がん剤治療中には「NGな頭皮ケア」があることをご存知ですか。

今回は抗がん剤治療中に避けるべき頭皮ケアについて、抗がん剤治療の目的や仕組み・髪の毛が生えるメカニズムも含めて解説します。

抗がん剤治療が脱毛という副作用を起こすことについて

抗がん剤治療をスタートすると、多くの場合、数週間程度で脱毛が発生します。

脱毛は抗がん剤の有名な副作用ですが、実際に始まるとショックを受ける方も多いのではないでしょうか。

そこでまずは、抗がん剤治療の目的や副作用が起きる理由についてチェックしていきましょう。

●抗がん剤治療とは何を目的に行われるか

がん細胞は正常な細胞とは異なり、勝手に増殖を続け、周囲の組織を破壊するなどの悪影響を及ぼします。

がんの原因としては、遺伝的要因の他、過度な飲酒や喫煙といった生活習慣、感染症、化学物質などが指摘されています。

そして、抗がん剤治療は「がん細胞の増殖の抑制」が目的です。抗がん剤の使用によって、病気の根治、延命、症状の緩和などを目指します。

なお、抗がん剤には主に以下のような3種類が存在します。

・ホルモン療法薬
ホルモンで増殖するがん細胞にアプローチする抗がん剤で、内分泌療法薬とも呼ばれます。

・細胞障害性抗がん薬
細胞増殖の一部を阻害することでがん細胞にアプローチする抗がん剤です。

・分子標的薬
がん細胞に栄養を運ぶ血管や、特定のタンパク質を標的にすることでがん細胞にアプローチする抗がん剤です。

●抗がん剤治療がなぜ脱毛を起こすのか

抗がん剤はがん細胞に作用しますが、活発に細胞分裂する他の細胞にも作用してしまいます。

髪の毛を作り出す細胞(毛母細胞)も細胞分裂が活発なため、抗がん剤が作用し、それが脱毛につながるのです。
脱毛は、抗がん剤投与から2〜3週間程度で始まります。

ただし、抗がん剤にはいくつかの種類が存在し、それぞれで脱毛の起こりやすさも異なります。

抗がん剤の中では、エンドキサン(シンクロホスファミド)、アドリアシン(ドキソルビン)、タキソール(パクリタキセル)、トポテシン(イリノテカン)、べプシド(エトポシド )などで脱毛が起こりやすいと言われています。

また、薬の組み合わせや量、患者さんの状態などによっても脱毛の起こしやすさは変わってきます。

抗がん剤治療中は髪の毛が抜けても頭皮ケアを避けた方がいい理由

健康な髪の毛を育てるために多くの方が実践している「頭皮ケア」。
しかし、抗がん剤治療中は思わぬ影響が出る恐れがあるため、避けなければならない頭皮ケアもあります。

ここでは、髪の毛が生えるメカニズムと頭皮ケアに期待できる効果を確認しつつ、抗がん剤治療中に避けた方が頭皮ケアとその理由を見ていきましょう。

●髪の毛が生えるメカニズムと頭皮ケア

髪の毛は、髪の毛の元となる細胞(毛母細胞)が細胞分裂することで生えてきます。1年間に伸びる髪の毛の長さは10cm以上です。

そして頭皮ケアは、頭皮環境を整えることで、髪の毛の成長をサポートします。
例えば、頭皮マッサージによって頭皮の血流を改善すると、各毛母細胞に栄養が行き渡り、太く元気な髪が生える一助となることが期待できます。

なお、髪の毛が成長して抜け落ちるまでの周期を「ヘアサイクル(毛周期)」と呼びますが、髪の毛のほとんどは成長途中(成長期)の状態です。
そのため、髪の毛や頭皮に対しては日常的なケアを実施することが望ましいと言えるでしょう。

●抗がん剤治療中には避けた方がいい頭皮ケア

抗がん剤治療中に避けるべき頭皮ケアは、主に2つあります。

1つめは、育毛剤の使用です。抗がん剤治療の副作用で脱毛が発生して髪の毛がなくなっている場合、効果は期待できません。

2つめは、頭皮マッサージです。マッサージによって血流が良くなると、頭皮に与える抗がん剤の影響が大きくなる可能性があるからです。

逆に、抗がん剤治療中に最適な頭皮ケアは「定期的な洗髪で頭皮を清潔に保つこと」です。洗髪によって、毛穴のつまりや皮膚炎を予防することにつながります。

頭皮環境を整えておけば、抗がん剤治療終了後の髪の毛の回復もスムーズになることが期待できます。

具体的な洗髪方法としては、髪の毛に優しい弱酸性、無添加などのシャンプーを選び、あらかじめよく泡立てて、ゆっくり優しく洗い上げてください。

まとめ

抗がん剤治療が終了し、薬剤の影響がなくなると、発毛が再開されます。
頭皮ケアや積極的な育毛は、抗がん剤治療の終了後、頭皮の状態が落ち着いてから行いましょう。

ただし、髪の毛がある程度の長さにまで伸びるには、時間がかかります。

そのためウイッグなども併用しつつ、頭皮ケアや育毛を続けると良いでしょう。

関連記事

TOP