抗がん剤治療に起因する抜け毛などの対策として販売されている医療向けウィッグは、ファッション用のおしゃれ用ウィッグとどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、医療向けとおしゃれ用の違いをご紹介いたします。
実は明確な定義がない医療向けウィッグ
がんは直せない病ではなく、治療の幅も広がり治療後のQOL(Quality of Life=生活の質)が重要視されるようになってきました。
がん治療では、用いられる抗がん剤の副作用として、脱毛が起こることも多くあります。
またがん治療以外でも、病気による脱毛や、医療目的での剃毛などにより、ウィッグを必要とする患者さんもいます。
こうした、がん患者を中心とした患者に向けて発売されているのが医療向けウィッグです。
「医療向けウィッグ」という用語は比較的定着してきていますが、実はこの用語には確たる定義はありません。
メーカーが「医療向け」と銘打って販売すればそれが「医療向けウィッグ」となっているのが現状なのです。
とはいえ、「医療向け」とされるものの多くには、通気性がよいこと、抗菌性があることなどの特徴が見受けられます。
また、病気や治療により免疫抵抗力の下がった患者さんが着用することを考え、頭皮に触れる部分などに、より肌にやさしい素材が採用されているなどの特徴もあります。
また、近年のでは人毛とファイバー(人工毛)が選べるのが通常ですが、医療向けに限っていうと、菌が繁殖しづらいファイバー(人工毛)を選ぶのもよいとする意見もあります。
おしゃれ用ウィッグってどんなもの?
一般的におしゃれ用ウィッグとして流通しているものは、医療向けと違ってある程度地毛がある状態の頭に着用することを前提としています。
そのため、フルウィッグに加えてヘアピースなどの部分用も選べるのが最大の特徴です。
また、その固定方法も地毛があることを前提としているため、ストッパー金具を地毛に差し込む方法にすることもできます。
医療向けに対しておしゃれ用は、スタイル、髪色などのデザインも豊富で選びやすくなっていることがあります。
「医療向け」、「おしゃれ用」を問わず、自分にあったものを!
医療向けとおしゃれ用のウィッグそれぞれの特徴はありますが、がん治療の脱毛時におしゃれ用として販売されているウィッグを着用する人もいます。
逆に医療向けウィッグを気に入って、脱毛が落ち着いた後もおしゃれ用として着用を継続するという人もいます。
ひと昔前までは医療向けというとデザインが限られ、おしゃれ用に比べて大変高価なものが多い傾向にありました。
しかし、現在では医療向けの選択肢も広がり、おしゃれ用との境界線はなくなりつつあります。
自分の頭に合うサイズと気に入ったデザインに巡り合うことが大切なのです。
バリエーションが広がるということは、より自分にぴったりあったウィッグに近づける可能性が高まるということ。
自分自身の目で、満足の行くものを選びましょう。